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約束を交わした日から、一週間が経った。
夢狩の少年…ヨウは、昊の夢が叶うか叶わないか監視しなければならないので、毎日仕事を終えてから昊の所にやってくる。ヨウにとっては面倒この上ないことだが、昊にとっては退屈な入院生活の中での唯一の楽しみとなっていた。
「お、ヨウじゃん!!」
空に浮いているヨウに、窓から昊が話しかける。
「もう仕事終わったのか?結構暇人だな、お前」
ヨウはムッとした顔をする。
「あのねぇ…いつも言うけど、僕は好きで仕事してるわけじゃない。さっさと片付けたいだけなんだよ。別に暇なわけじゃない」
「好きじゃないなら、辞めればいいのに。夢を狩るなんて仕事」
「好きじゃないから辞めるなんて、神の前じゃ通用しないんだよ」
「ふぅ~ん…」
昊はそう言いながらも、あまり納得していない。
「まぁ…いいや。それよりヨウ!なんでいつもソコにいるんだよ?部屋入ればいいじゃん」
「断る」
ヨウは昊を見下すように言った。
(少しでも関わりを避けなくちゃ)
そう思っていた。
「そう言うなよ」
「やだね」
こんなやり取りがしばらく続き、結局ヨウはその日、昊の病室に入ることはなかった。
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