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下界、車などの排気ガスで噎せかえる大都会。夢狩の仕事をもつ翼を生やした少年は、そこに姿を現した。
「ねぇ弥生…テストどぉだった?」
「全然~…お手上げって感じ」
他愛もない下校中の女子高生の会話。
その女子高生の背後に少年は舞い降りた。
「嘘!いつもそう言ってトップ取ってくクセに」
「ぃや②、今回はまじヤバい…って信じないなら聞くなよ、天華!」
少年はポケットからリストを取り出した。そこには何十人という人間の名前が記されている。
([春野天華ハルノテンカ]、[岩切弥生イワキリヤヨイ]…か)
女子高生2人の名前を確認すると、少年は鎌を振り上げた。
「じゃ…狩るか」
鎌は冷たく光ると、天華の首にかけられた。
「あ…」
「?どーしたの、天華?」
そして鎌を手前に勢いよく引く。
ザンッ
「あぁああああ!!!!」
天華はいきなり青い顔で大声を出した。
「ぇ!?どーしたのよ!?」
弥生は心配して天華の肩を揺らす。
「MaTの特番始まる時間」
天華は腕時計を見て言った。
「…は??何だよぉ!びっくりしたじゃん!!」
弥生は怒鳴りながらも胸を撫で下ろす。
「急がないと!!走るよ、弥生!!!!」
2人は何事も無かったかのように走り出す。少年はそれを無言で見送った。
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