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しばらく沈黙が続いた。昊は少年を怪しい眼差しで見、少年はこの状況を整理していた。
「ぁ…あ~…」
昊はポンと手を合わせた。
「天使ってやつ?」
冷静に言う。少年はまだ整理できていない。
「お…驚かないのか?」
「幽霊とか見えちゃうタイプだから、俺。でも…天使は初」
昊はにっこり笑って見せた。
(そうか…こいつ…)
やっと整理がついた。
幽霊などの第六感と言われる能力は、大体生まれながらの体質的能力である。しかし、夢狩が見えるというのは話が違ってくる。
(もうすぐ死ぬんだ…)
少年が見える…それは、死が近いことを示していた。
「しかしあんた、天使にしちゃあ物騒な。鎌なんか持って」
「…違う」
(見えてしまっているならしょうがない。きっちり説明しなきゃな)
少年は鎌を退けると、昊の目をじっと見た。
綺麗な色だ。これがもうすぐ永遠に閉ざされてしまうなんて…勿体無い。
「僕は天使なんかじゃない」
「…天使だろ?」
「僕は、君の夢を狩りにきた…夢狩だ」
「ユメ…ガリ?聞いたことない」
「あるわけないよ。人間は僕らを神の使徒だと信じてきたんだから」
「夢を狩るって…どういうこと?狩るとどうなるんだ?」
「それは…」
昊は不安そうな顔をした。
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