44人が本棚に入れています
本棚に追加
「そのままさ。夢を狩る…例えばコレ」
少年は先ほど狩った女子高生の夢を取り出した。
「ビー玉?」
「夢の玉。この鎌でコレを取り除くのが仕事」
少年は夢を再びしまった。
「もう一つ質問したろ?『夢を狩るとどうなる?』」
(くそ。やっぱ答えなきゃダメか。コレ言ったら絶対狩らせてくれないだろうなぁ…)
そんな事を思いながら、少年は頭を掻いた。
「…昔の人間は…死んだ」
「…」
「多分…昔の人間は、夢を諦めるなんて事…無かったから」
昊は黙って少年の話を聞いていた。
「でも今の人間は、すぐに夢を捨てる。夢が汚れて、命と一体化しなくなった。だから死なない。大丈夫…君もきっと同じだよ。だから君の夢を狩…」
「それは困るっ!!!!」
今まで静かだった昊は、いきなり怒鳴り声を発した。
「…え」
「だって俺、やりたい事がたくさんあるんだ。学校行きたいし、友達作ってそいつらと遊びたいし、部活やってみたいし、本だってたくさん読みたい。コレ全部纏めて、俺の夢なんだ」
少年は思った。
(あぁ…こいつは…)
「コレが無くなったら、俺は何を目的として生きていけばいい?だから頼むよ、取らないでくれ…」
(昔の人間と一緒なんだ…)
最初のコメントを投稿しよう!