5/8
前へ
/65ページ
次へ
「そのままさ。夢を狩る…例えばコレ」 少年は先ほど狩った女子高生の夢を取り出した。 「ビー玉?」 「夢の玉。この鎌でコレを取り除くのが仕事」 少年は夢を再びしまった。 「もう一つ質問したろ?『夢を狩るとどうなる?』」 (くそ。やっぱ答えなきゃダメか。コレ言ったら絶対狩らせてくれないだろうなぁ…) そんな事を思いながら、少年は頭を掻いた。 「…昔の人間は…死んだ」 「…」 「多分…昔の人間は、夢を諦めるなんて事…無かったから」 昊は黙って少年の話を聞いていた。 「でも今の人間は、すぐに夢を捨てる。夢が汚れて、命と一体化しなくなった。だから死なない。大丈夫…君もきっと同じだよ。だから君の夢を狩…」 「それは困るっ!!!!」 今まで静かだった昊は、いきなり怒鳴り声を発した。 「…え」 「だって俺、やりたい事がたくさんあるんだ。学校行きたいし、友達作ってそいつらと遊びたいし、部活やってみたいし、本だってたくさん読みたい。コレ全部纏めて、俺の夢なんだ」 少年は思った。 (あぁ…こいつは…) 「コレが無くなったら、俺は何を目的として生きていけばいい?だから頼むよ、取らないでくれ…」 (昔の人間と一緒なんだ…)
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加