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昊は、真剣な顔つきで少年を見据えた。しかし少年は少しも動じない。
「悪いけど…さっきも言った通り、僕は君達がいう願いを叶えてくれる天使なんて奴じゃない。昔は死神とも呼ばれてた。けどそれも違う。僕らは夢狩…夢を狩るのが仕事なんだ」
「どうしても…か」
「仕事だから」
少年は、鎌を再び昊の首に構えた。
「ちょっ…タイムタイム!待ってください!」
昊は焦り焦り手でTの字をつくる。
「今はダメだ!もう少し…せめて3ヶ月待ってくれよ」
「3ヶ月も?」
少年は顔をしかめる。
「3ヶ月経って一向に夢が叶えられないようなら…狩っていい。でももし、少しでも希望があったら諦めてよ」
昊は同意を求めるように、小さく「ねっ」と言った。
「…言ったでしょ?僕は人間の願いを叶えてくれる天使なんかじゃ…」
「だから、約束だ!!お願いじゃなくて!」
昊は真顔で言う。
(なんか…何を言っても聞かなそうだな)
少年は鎌を退くと、くるっと体の向きを変えた。
「酷い残業だ…」
「悪いな、夢狩…じゃなくて…えーと…?」
「名前は無いよ」
少年は冷静な口調で言った。
「無いの!?神様が付けるんじゃないんだ?」
昊は丸い目をさらに丸くして言った。
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