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「…そんなに驚く事?」
少年は昊の意外そうな顔を見て言った。
「いやだって…俺の知ってる限りじゃ考えられない事だから」
「神は…そんな人間みたいな真似はしない」
「へぇー…」
昊は少年の顔をじっと見て、何か思いついたようにニコっと笑った。
「じゃあ、俺が付けてやる!」
「いらない」
少年は真顔で答えた。
「そうだなぁ…何がいい?」
「聞いてないし…」
少年はうんざりといった顔をする。
「いらないってば、そんなの」
「んなこと言うなよ。大事だぞ、名前は」
昊は昔を思い出すように、懐かしみを含んだ笑顔で言った。
「名前には、祈りを託されるんだ。名付けた人から、名付けられた人へ」
その笑顔の意味は、少年には分からなかった。ただ、昊は誰かにそう言われたのだろう…と、なんとなく感じた。
「ヨウ…[耀]がいいな」
「[ヨウ]?」
「うん。なかなかいいと思うんだけど」
必要ないと思っていたが、悪い気はしない。ただ…
(…こんな人間みたいな真似、神に知られたら…)
少年はその心配をしていた。神は、現代社会の人間を嫌っている。バレたらどんな罰があるか…。
(でも…問題ないか。こいつはもうすぐ死ぬんだから…)
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