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学校から出ると、ミティとロアは森の中に入っていく。
「もう火の実が少なくなっていたのよ……少し持っていこう」
ロアがニコッと笑って、真っ赤な木の前にくる。
森には、様々な鳥や動物の声が響いていて、ミティは森の中に来るのが好きだった。
なにか癒されるのだ。
しかし、そんなのどかな景色も太陽が西に沈んでいくと、一変する。
魔獣と呼ばれるモンスターがノシノシと歩き出すのだ。
「もう陽が暮れるわね…早く実をとって帰りましょ」
そう言うと、ロアは長袖の服の袖をまくり、ズボンの裾も膝が見える所まで上げる。
「よいしょ…」
深紅に染まる木を登りだすロア。
「ろ、ロア…だ、大丈夫?」
木に登れないミティは、ひたすら上がっていくロアを下から見上げることしかできない…
「平気、平気~♪」
女のコだてらに、スイスイと木を登る。
真っ赤な木の実が生る所まできた。
1つの実が、鶏の玉子くらいの大きさがある。
「落とすから拾って~」
「う、うん!」
ロアは、枝から実をちぎり取ると、次から次へと下に落としていく。
落ちた実を拾っていくミティ。
ミティの革袋にいっぱいに詰め込む。
「こんなもんでいいよー」
下から叫ぶと、ロアが滑るように降りてきた。
「じゃあ帰ろうか?」
二人、森を後にした。
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