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しかし、やはりこの町の人間も、ミティのことを快く思う者は居なかった。
【緑の髪のハーフエルフ】
そのことが、町の人間に嫌がられたのだ。
「気持ち悪い…」
誰もがまだ小さかったミティを避ける。
しかし、ロアだけ…
「ミティ!一緒に火の実取りに行こう~」
「ミティ~遊ぼう~」
「ミティ~」
………いつも一緒に居てくれたロア…
緑の髪のハーフエルフを、なんら普通の人間と一緒に扱ってくれたロア…
ロアの存在が、ミティの数少ない救いだったのだ。
「ただいま~」
洗濯物を家の庭先に干して、家に入ると、ロアが夕食を作っていた。
「おかえり!今シチュー温めなおすから~」
そう言うとロアは、先程森から持ってきた火の実を手に持った。
【火の実】とは、その名の通り、火を出してくれる実のことだ。
真っ赤な実を、ロアの綺麗に伸びる指先で、パリン!と割る。
そしてシチューが入った鍋の下のコンロに割った火の実を投げ入れる。
少し時間をおいて、パチパチと音を鳴らして火の実から火が燃えだした。
この町に住む人々は皆、この火の実を使って、火をおこしていたのである。
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