緑の髪の少年

16/18
前へ
/242ページ
次へ
夕食が終わると、ロアはお風呂に行く。 そしてミティは、手製の木でできた剣を持って庭でひたすら素振りをしている。 学校にロアと通うようになってから7年間、毎日続けていたことだった。 強く…なりたかった… 愛する者を守る為には『力』が必要だ… しかし同い歳の人間に比べて身体の成長が遅いミティは、力が無い… 女のコにも勝てない… そんなミティが同い歳の男達に勝つには努力しかなかった。 ルルカの木と呼ばれる木は堅い上に、軽量。 ミティでも簡単に振り回せるほどだ。 ミティは、ルルカの木を削り、自分で木刀を作り、毎日、振り続けていた。 手には何度もマメを潰した痕があった。 「~♪」 ロアは鼻唄を歌いながら、髪の毛をタオルで拭きながら風呂場から出てきた。 ブンブン! 「ん?」 外から聴こえてくる空気を切り裂く音に、ロアは窓から庭を見た。 そこには汗を下にいっぱいこぼしながらも、ひたすらに木刀を振るミティがいた。 「お?やってる、やってるぅ♪」 嬉しそうに窓を開けて、ミティの様子を見ているロア。 真剣な顔で… ひたすら素振りをしているミティを見ていて、ロアは目を細める。 「ふぅん…男のコ…だね、やっぱり…」 少しずつだが、男らしくなってきたミティの顔つきに、嬉しさが込み上げてくるロアであった。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加