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夕食が終わると、ロアはお風呂に行く。
そしてミティは、手製の木でできた剣を持って庭でひたすら素振りをしている。
学校にロアと通うようになってから7年間、毎日続けていたことだった。
強く…なりたかった…
愛する者を守る為には『力』が必要だ…
しかし同い歳の人間に比べて身体の成長が遅いミティは、力が無い…
女のコにも勝てない…
そんなミティが同い歳の男達に勝つには努力しかなかった。
ルルカの木と呼ばれる木は堅い上に、軽量。
ミティでも簡単に振り回せるほどだ。
ミティは、ルルカの木を削り、自分で木刀を作り、毎日、振り続けていた。
手には何度もマメを潰した痕があった。
「~♪」
ロアは鼻唄を歌いながら、髪の毛をタオルで拭きながら風呂場から出てきた。
ブンブン!
「ん?」
外から聴こえてくる空気を切り裂く音に、ロアは窓から庭を見た。
そこには汗を下にいっぱいこぼしながらも、ひたすらに木刀を振るミティがいた。
「お?やってる、やってるぅ♪」
嬉しそうに窓を開けて、ミティの様子を見ているロア。
真剣な顔で…
ひたすら素振りをしているミティを見ていて、ロアは目を細める。
「ふぅん…男のコ…だね、やっぱり…」
少しずつだが、男らしくなってきたミティの顔つきに、嬉しさが込み上げてくるロアであった。
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