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「ルサルカ?」
ミティは家に帰ると、ロアに訊いてみる。
「ルサルカって、森の川に住むと言われる女の妖精の?」
ロアがミティに言うと、ミティは頷く。
「詳しく教えてほしいんだ」
ロアは、ん~。と人差し指を口元に立て、話始めた。
その昔……
町には貴族の男がいた…
貴族の男は結婚していたが、使用人として、貴族の男の屋敷に住む女…キリアを男は大層気に入っていた。
やがて男は妻の目を盗んではキリアを愛するようになっていた。
しかし、キリアと男の関係に気付いた妻は、キリアを殺そうとした。
妻の殺害計画を知った男はキリアと、この町を抜けて幸せになろうと考え、キリアと町から抜け出した。
しかし妻は貴族の権力を使って、国から兵士を数十名用意されると、一斉に逃げた二人を追いかけた。
森の中を走るキリアと男…
迫り来る兵士と妻…
川を渡ろうとしたその時、キリアが足を滑らせた。
男はなんとか、キリアの手を取るが、追っ手に追い付かれてしまう。
妻は言う…
「その手を離しなさい…ならばあなたの今までの罪は許してあげよう」
と……
男は悩んだ…
愛する女か…
自分か…
そして……
「きゃあああああああ!!」
断末魔の悲鳴が鳴り響いた…
男は自分可愛さにキリアを見捨てたのだ…
川の流れは異常なほど速く渦巻いており、女のキリアに川から上がる体力は無く、川の下に沈んでいった。
それ以降、キリアはルサルカ(水辺の精霊)となり、川を渡るカップルを川に引きずり込むようになった……
以上がルサルカの由来である。
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