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「お、おい…待てよ~」
森の中を歩く二人…
肩に大きな斧を持ったニックが前を歩くミティに言った。
「なに?」
振り返って、ニックが追い付いてくるのを待っているミティ。
「お、お前怖くないのか?」
ニックは心無しか、いつもの威圧的な態度はなく、年相応の少年の顔になっていた。
「怖い?なんで?」
「なんで…って…火の木を過ぎたんだぞ…これからは俺たち子供が入ってはいけない……と言われてる地域だ…少しは怖いだろ?な?」
ニックは同意を求めるようにミティに怖いだろ?と訊く。
「平気だよ。いつもこの辺で遊んでるし…」
ミティの言葉に驚くニック。
「いつも?」
「うん……いつも…俺さ…みんなハーフエルフだからって相手にしてくれないでしょ?ロアだって忙しいんだし、ロアにばっかり頼ってられない…そんな時…ここに来るんだ…耳をすましてごらん?」
ニックは言われるまま、耳をすませる。
「いろんな動物や鳥達の声が聴こえるだろ?その声を聴いてるとね…なんか落ち着くんだ…」
そう言うと、ミティは道に落ちているゴミを拾う。
「……そうか…」
ニックは頭を掻きながら、ミティの後ろを歩いていた。
今まで散々虐めてきたミティ…
少しだけ、可哀想に思えたのだ。
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