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「姉…くらいしか…」
と答えるミティだったが、胸の内にある言葉は違っていた……
ロアが好きだった…
愛していた…
けど、その言葉を口にすることをミティ自身が許さなかったのだ。
ハーフエルフと人間…
許されない恋だから…
「お、おい…だんだん暗くなってきたんだが……」
大きな斧を持っているくせに不安そうな声を出すニック。
「森の深い所に来てるからね…昨日来たんでしょ?」
ミティが訊くと、無理矢理笑うニック。
「も、もちろんだぜ!昨日もこの辺は暗かったな…うん!」
二人、森の中を歩いていく…
やがて…川の、水が流れる音が聴こえてきた。
「川だ!?」
ニックが身体に緊張を走らせる。
ついに目的地のルサルカの川についた二人。
川は穏やかに流れ、陽の光が暖かく水面に反射していた。
数日前に同級生のお姉さんが溺れ死んだ…
なんて場所には見えなかった。
鳥は囀り、水面に浮かぶ魚達は楽しそうに泳いでいた。
最初、ミティの背中に隠れていたニックは、その穏やかさに徐々に安心して川に近付いていた。
「な?ルサルカなんていないだろ?」
得意気にミティに胸を張るニック。
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