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「ルサルカ…だ…ルサルカだ!!」
抜かした腰で逃げようとするニック。
しかし…
ドン!と何かにぶつかり、ニックが振り返ると…
《逃がさないよ…》
と、人間ではない声でニックを見下ろす水に濡れた女…
「ひぃいいいい~」
今度は前に逃げるニック。
しかし前には、ロアの腕を掴むミティがいて、ゴウゴウと流れる川の水かさはドンドンと水位を高くしていた。
間もなく、ミティが立っている足下にまで水位が届こうとしていた。
《お前達は死ぬんだよ…ここで…私のように!!》
濡れた女の顔が醜く溶けていく…
ドロドロになった顔は紫色に変色し、髪も次々と抜けていった。
「ぎゃああああああ!」
泣きながら必死に胸元で十字をきるニック。
濡れた女…ルサルカはニックの耳元に囁く。
《そんなの…無駄よ…》
「ぎゃああああああ!…………………」
叫ぶと、目をグルンと白眼にして気を失ったニック…
ミティはロアの腕を掴みながらニックを見ていた。
「ニック!!」
洪水の勢いは更に強くなる…
ロアを掴む腕に必要な力も徐々に力無くなってくる。
「このままじゃ、ミティまで川に巻き込まれる!腕を離して!!」
ロアが声をあげる。
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