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「嫌だ……離すものか…」
唇を噛み締めて、ロアの腕を掴むミティにルサルカは笑った。
《そう……その手を放すんだよ……そうすればお前は助けてあげる…フフフ…ファハハハハハハ!!》
狂ったような笑い声を出すルサルカ。
「ミティ!!」
「嫌だ!!絶対に離さない!」
ミティは泣きながらロアを掴む腕に力を込めた。
《…………》
ルサルカは黙ってその様子を眺めている。口元に微笑を浮かべながら…
「ミティも死んじゃうよ!いいから!私はいいから!」
ロアが泣き叫ぶが、ミティは離さない。
水かさはついに坂に上がってきた。
《そうだよ…その女が言うとおり、このままだとアンタも死ぬんだよ…その女の腰にぶら下がっている女が見えるかい?その女も男を庇って流されて死んだ女さ……みんな男は女を犠牲にして生き残る…それが当たり前なんだよ…》
笑うルサルカにミティは叫んだ。
「ロアを…ロアを犠牲にして生きるなら俺は死ぬんだ!!ロアがいない世界なんて要らない!ロアが全てなんだ!俺にとってロアが世界なんだ!!」
「!?」
《!?》
ロアもルサルカも言葉を失す……
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