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話はだいぶ変わっていた。
ルサルカは、幸せの象徴に変わっていた。
『ルサルカを見たカップルは幸せになれる』と………
ミティとニックは顔を見合わせた。
学校が終わると、ニックと二人、町の図書館に向かう。
図書館に行くと、昨日ミティが読んだはずの文献を本棚から持ってくる。
「あった、『貴族とキリアの恋』これだ!」
ミティはキリアの記事のページを捲る。
話は変わっていた…
使用人であるキリアを本気で愛してしまった貴族の男はキリアと町を出て幸せになろうとした。
しかし男の妻はキリアを殺そうと、兵士を引き連れて追いかけてきた。
森の中を逃げるキリアと男…
やがて、昨日の雨で氾濫した川の前に来た…
こんな川に飛び込めば流されるのは確実…しかし後ろからは追っ手が迫りくる…
キリアと男は顔を見合わせると、頷いて微笑んだ…
「一緒に…どこまでも…」
二人は死を覚悟して川に飛び込んだ。
しかし川はその瞬間優しく穏やかな流れに変わる…
無事、向こう岸に辿り着いたキリア達…
その時、追っ手の妻と兵士も川に飛び込んだ。
再び川は流れを強くすると、兵士と妻を流してしまった…
記事にはこれで締め括られていた。
その後のキリアと男については何も分からない…
けど、間違いなくキリアは幸せになったはずだ…
なぜなら…物語はハッピーエンドとして町中の人々に受け継がれていたからだ……
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