文化祭大パニック!!

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「起きたかの?」 襖越しに老人の声を聞き、奈落は蔭刀をそっと横たえて立ち上がった。 「おぉ!起きとったか!」 「…世話になったな…老人」 「ええって、あぁそうじゃ!どのような病かわからんでなとりあえず茶だけ持ってきた。飲ませるといいぞ」 「…度々世話になるな」 「構わんて。あぁそれからの、落ち着いたら居間にくるといい。ちょうど昼飯にするところじゃからの」 「わかった…」 老人は奈落にお茶が二つ乗ったお盆を渡し襖を閉めて行った。 「蔭刀、茶を貰ったが…飲むか?」 「うん」 「わかった」 奈落はお盆を置き、蔭刀をゆっくり起こし湯呑みを一つ渡した。 「ふぅ…温かい…落ち着く味がする…」 「そうか」 へらっと笑う蔭刀を見て、自然と奈落も顔がゆるむ。 「そうだ蔭刀」 「ん?」 「この家の者が茶を飲んだら居間に来るといいと言っていた…昼食だそうだ」 「あはっ…それじゃあ飲んだら奈落も一緒に行こう。お礼も言いたいし…」 「あぁ、そうだな」 奈落も傍らで湯呑みを手に取りお茶を飲んだ。 「蔭刀」 「ん?」 「ここがどこだか一応言っておくが…ここはわし達の住んでいた時代ではない」 「え!?」 「ここは未来、とでも言おうか…かごめが住まう現世とやらだ」 「現世…すごいところなのだろうか、やっぱり」 「…わからん」 「…とりあえず」 「行くか」 「うん」 奈落は空になった湯呑みを再びお盆に乗せると、蔭刀を支え立ち上がらせ襖に手をかけた。
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