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「よいか蔭刀、わしが帰るまで城でおとなしくしておるのたぞ?」
優しく髪を撫でる奈落の手に蔭刀は手を重ねやんわりと微笑んだ。
「うむ、わかった。ただ…」
「ただ?」
「早く、帰ってきてくれ…」
「蔭刀…」
寂しそうにうなだれる蔭刀を奈落はそっと抱き締めるとあやすように背中を撫でた。
「早く帰ってくるから、待っていろ」
「うむ…」
奈落は蔭刀にしか見せない優しい顔で触れるだけの口付けをし、狒狒の毛皮を羽織り城を後にした。
向かうはかごめが現世へと帰るために使う骨喰いの井戸…
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