箱庭DOOLs

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「さぁ、アエラ、イオン、君たちにこれをあげよう」  二人の人形に、二冊の本を差し出した。  二人の同じ色の瞳が、二冊の本を捕らえた。  同じ表紙の、同じ厚さの、二冊の本。  それぞれを、硬くこわばった4つの手が掴む。 「君たちは、これでこの世界を作りなさい」 「「はい、ご主人様」」  同じ色の瞳が、自分を映し、同じ顔が上下に傾いだ。  これからこの世界はどんどん広がっていく。  一人の人形が夢を描き、一人の人形がそれを紡ぐ。  そして、無限に、絶え間なく、どこまでも、広がりを見せるのだろう。  【永遠 ( イオン) 】は物語を生み、【時流 ( アエラ) 】はそれを記す。そして世界は続いていく。 「頑張りなさい。二人とも。世界が途切れないように」  そう言って、【創造主 ( デウム) 】は二人の背中をそっと押した。 カ チ コ チ カ チ コ チ     カ 時計の針が動く。 ゆらり ゆらり ゆらん 振り子が半弧を描く。 そして物語が動き出す。 無限に続く箱庭の中。 いつかの最期のその時まで。
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