繭のライバル?

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今日は久しぶりの生徒会だから、放課後繭のクラスに向かった 「繭、おまたせ」 「うん」 あっ、蒸しパンが濡れてるような…… 「今洗ってみたけどダメ」 「やっぱりお風呂で洗わないと」 「うん」 「水、冷たかったでしょ?」 繭の冷たい手を握りながら言った 「大丈夫……燕羽の手、温かい」 「繭が冷た過ぎなんだよ」 冷たい手を擦りながら繭を見つめた 「もう気にしなくてもいいからね」 「………蒸しパンは大切」 「繭」 もうっ!可愛いったらない 思わず抱きしめてしまった 「燕羽」 「あっ、ごめんね」 「温かい」 「繭も温かいよ」 「もっとぎゅってして」 「ぎゅーっ!」 そっか 繭は抱きしめてもらった事もないんだ てか、俺が抱きしめてるけど 「燕羽」 「ん?雪魅、部活は決まった?」 「雪魅は生徒会に入りたいの」 「生徒会?ん~、それは俺には決められないな」 「というか、雪魅も掃除当番だったから手が冷たいの」 「頑張ったね」 「雪魅には?」 「ん?」 「もうっ!雪魅もぎゅーして」 「はいはい、雪魅もぎゅー」 「ふふっ」 でも、体は冷えてないような…… 「燕羽、雪魅の髪どう?」 「どうって?」 「だから~、ずっと伸ばしてたの」 「どうして?」 「もう!燕羽が昔、雪魅の髪が綺麗だから好きって」 忘れ……たけど言ったかな 「それからポニーテールが好きって」 う~ん 思い出せないけど 「ほどくと雪魅の髪は長いの」 「うん」 「どう?」 もしかして……褒めた方がいいのかな 「うん、可愛い」 「ホント?」 「うん」 今さらだけど……雪魅の髪はロングだったんだ 「燕羽はそんなパッツンより長い髪が好きなの」 「パッツン?」 繭がちょっと悩んでる パッツンの意味がわからないよね 「そうだ、燕羽」 「何?」 「今日、美術の時間に作ったの」 「へぇ……綺麗な箱だね」 「あげる」 「えっ?」 「燕羽の好きな色をぬりぬりしたの」 「でも、せっかく作ったやつだし」 「雪魅は燕羽にあげたいの」 う~ん これ以上断ると機嫌が悪くなるかな? 箱を見つめながら考えてしまった
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