繭のライバル?

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「気持ちいい」 「うん」 「今夜は三日月だね」 「クロワッサン」 「あははっ、パン食べたいの?」 「クロワッサンは三日月から名前がついたんだよ」 「そ、そうなんだ」 ずっとパンの種類かと思ってた 「あっ、星が見える」 「あれは木星だよ」 「木星?」 「うん」 「二つ並んでるからすぐにわかる」 「へぇ」 「観たい?」 「ん?」 「木星」 「見えてるけど」 「もっとちゃんと」 「ちゃんと?」 「仕事場に天体望遠鏡があるから」 「すごいね」 「明日持って来てもらう」 「うん、楽しみ」 しばらく二人で風に当たりながらたわいのない話をした 「出来たぞ」 「あっ、行こう」 「うん」 手を繋ぐのも当たり前になってしまった 部屋に戻ると美味しそうなカレーの匂いが鼻を刺激した 「カレーだっ!繭は好き?」 「うん」 「俺も好き~」 甘口だけど…… 「ほら、燕羽のはこれだ」 「ありがとう」 「繭は俺と同じやつ」 「うん」 ん? 繭のカレーは何となく色が違う 「いただきま~す」 「いただきます」 やっぱりカレーは甘口だねっ! 「繭のも甘口?」 「ううん」 「へっ?」 「食べる?」 「うん、じゃ一口」 繭のカレーをスプーンですくって口に入れた 「!!!」 「美味しいよ」 「か、か、からぁ~い!からからから…水」 「ほら」 「ありがとう」 水を飲んでもまだ口の中がヒリヒリする 「繭は昔から辛口なんだ」 「マジ?辛いのに?」 「辛いのは好き」 「そうなんだ」 やはり顔からは想像がつかない あんなに辛いカレーを普通に食べてるし おそるべし繭……だね
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