繭のライバル?

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「助けないの?」 「………胡月、いつからそこに」 「ん~、1時間位前かな」 「不覚……」 「まぁまぁ、で……どうするんだ?」 「悩んでる」 「は?」 「燕羽の従兄弟だし」 「お前馬鹿か?」 「……………」 確かに泣かせるだけにしてはやり過ぎだ あんなに蹴られても声ひとつ出さないなんて 「いくら従兄弟でもあれはやんちゃしすぎだろ……黙って見てるなら俺が行く」 「待って」 「ならさっさと行け!額から血が出てるぞ」 「繭君……」 そのまま飛び降りて、先に蒸しパンを取り返した 「あっ!」 「殴られたい?」 「い、いえ」 「二度と繭には近付くな……消えろ」 「はいっ!」 後は…… 「ちょっとやりすぎじゃないの?大福ちゃん」 「ぐっ!楓……?」 首を掴んで睨みつけた 「足をどかさないと息が出来なくなるよ」 「い、いいの?ママに……」 「うるさいよ?昨日の言葉を忘れたの?忘れたなら殴って思い出させてあげようか?」 (ゴツッ!) 「ひっ!壁が……」 あっ、やり過ぎた 壁にヒビが…… また和海に怒られちゃうかも 「き、今日はこれで許してあげるの」 ったく可愛い気のない奴 「許す?繭が大福に何をした?ねぇ……教えて」 「は、はなすの…雪魅が死んじゃうの」 「また同じ事をしたら……わかってるよね?ここは学園と言う事を忘れないように」 「はなすの!」 やはり大福に何を言っても無駄か 手を離して繭に声をかけた 「大丈夫?」 全然動かないけどまさか骨が? 「繭君」 「………触らないで下さい」 どこまでも気高い繭 「ごめんね」 「貴方には滑稽に見えたでしょうね」 「いや、繭君の強さを見て驚いた」 「強くなど……ただ、二回も燕羽からもらった物を壊したくはなかっただけです」 「繭君らしいね」 「…………でも、お礼は言います…ありがとうございました」 「君ってさ……みんなが思ってる以上に心が強いんだね……でも心が強い以上に気高い寂しがり屋さん」 「馬鹿らしい……この事は燕羽には言わないで下さい」 「わかった……じゃ、血だけ拭かせて」 「……………」 「血だらけでは戻れないでしょ?ちょっと待ってて」 「……………」 何も言わないからその場を離れ、ハンカチを濡らしに行きそっと額を拭いた
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