繭のライバル?

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あ~、やっぱりダルい 「熱が出て来たから今日は早退しろ」 「でも」 「保健医の命令だ……送ってやるから」 「じゃ、カバンを」 「わかった」 繭にも言わないと…… 「あれは……」 繭が水道の近くで俯いていた まさかまた? 慌てて近付いて名前を呼んだ 「繭!」 「………燕羽」 「ち、ちょっと!どうしたの?また何かされたの?」 明らかに怪我をしていた繭を見つめて尋ねた 「ちょっとボンヤリしてて転んだ」 「本当?」 「うん、本当」 「もう……大丈夫?痛い?」 「大丈夫」 「あっ、血がシャツに」 「燕羽」 「ん?」 「今日は早退する」 「わかった、俺も熱があるから早退するのを言いに来たけど……じゃ、一緒に帰ろう」 「うん」 「カバン取りに行くから」 「一緒に行く」 「うん」 なんかいつもより繭が甘えてるような 繋いだ手の力加減で何となくそう感じた 「可哀相に……痛いのに痛いって聞いても仕方ないけどやっぱり痛いよね」 「ちょっとだけ」 「額まで擦りむいて……」 思わず廊下で抱きしめてそして気付いてしまった 「繭」 「何?」 「健康診断の時に転んだの?」 「うん」 「………………」 繭は嘘を言ってる だって、健康診断の時に転んだなら体操服に砂がついているはず なのに砂がついていたのは制服だった それに、どんな転び方をすれば背中に足跡みたいな跡がつくの? 繭……まだ俺に心を開いてくれてはいないんだ すごく寂しいと言うか悲しい……よ
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