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温室に戻ると幻月がクレープを作ってくれた
「やっぱり心配だから俺達も泊まるよ」
「翔、そう言えばどこで寝るの?」
『床だな』
「床……」
『毛布はあるから』
「わかった」
とりあえず床に毛布を敷いてみんなでゴロゴロした
『楽しいな』
「だね」
「やっぱりここは怖い話じゃないかな」
「し、紫乃…やめようね」
「残念」
「何だかキャンプみたいだな」
「懐かしい」
幻月達も何気に楽しんでるみたい
「繭、背中痛くない?」
「大丈夫」
『燕羽は過保護だなぁ』
「雪魅、ほら風邪ひくから」
「暑いの」
「ダメだ」
『過保護があそこにもいた』
「翔」
『何だよ繭』
「ホントは寂しいんでしょ」
『んなこたぁ~ない!』
「和海なら生徒会室にいるよ」
『だから何だよ』
「別に」
『紫乃、寝るぞ』
「まだ9時だよ」
『………………』
「やっぱり怖い話とか」
「紫乃~」
「ありふれた怖い話にしようよ」
「雪魅もそれなら怖くないの」
『だな』
マジですか……
「じゃ、ありふれた話ね」
やっぱりするんだ……
「若い女の人が赤ちゃんを産んで育てられないからコインロッカーに赤ちゃんを捨てた話なんだけどね……」
「も、もう怖い」
「ロッカーに捨てた罪悪感もあってその女の人はずっとそのロッカーには行かなかったんだけど、そのうちに捨てた事も忘れて結婚して子供が生まれて幸せに暮らしていたんだ」
『なんかムカつくな』
「うん」
「それで、ある日そのロッカーのある駅にどうしても行く用事が出来て仕方なく駅に向かったら小さな男の子が迷子みたいで泣いていたんだって」
「迷子か……」
「それで気になったから男の子に声をかけたのね」
『それが普通だ』
「僕、ママはどうしたの?僕のママは?」
「うんうん」
「そうしたらずっと泣いていた男の子が女の人の服を掴んで言ったんだ……お前だよ!」
「ぎゃーー!むりむり!もう無理っ」
「ありふれた話でした」
『………背中が寒い』
「胡月が固まってるし」
「雪魅も泣きそうなの」
ありふれた話でも紫乃が話すと怖さ倍増するんですけど……てか、もうトイレ行けない
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