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「初めまして!
東京から引っ越して来た“飯田馨”っていいます。よろしくお願いします!」
2学期の始め、一人の女の子が東京から引っ越して来た。
彼女は私から見れば、ものすごく可愛い女の子に見えた。
私はそのまま短い自己紹介を聞き流しながら、雨が降る外を見つめていた。
「それじゃあ、飯田の席は川岸の隣な、川岸!寝てないでいい加減起きろよ!」
「ンー~‥?」
「いつまで寝てんだ!さっさと起きろ!」
「ふぅぁい」
今まで寝ていた彼が起きた。
彼の名前は川岸圭介、私の幼なじみの男だ。
容姿端麗、頭脳明晰、無病息災の三拍子揃った男。
普段は机に突っ伏して寝ている、通称”眠りの王子“だ。
「よろしくね!えと‥」
「川岸圭介」
「よろしくね、圭介くん!」
転校生の飯田サンは先生に促されゆっくりと自分の席に向かって行った。
眠りの王子こと、圭介は転校生を見て何時もと変わらない…、いや、何時もと違う冷めた瞳で見つめていた。
「圭介くん!」
「圭介くん!」
いつの間にか寝た圭介は、転校生に名前を呼ばれても何をしても起きることはなかった。
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