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行為が終わってから、井上はそのまま寝ている。
小さく口を開いている多少間が抜けた顔を愛しく思う自分がどうにかしていることはわかっているのだが。
「やっぱ、かわええもんなぁ」
石田は本人にはめったに見せない顔で、笑む。
(ばかっぽくて、ええなぁ)
本当はもっと甘やかし、今以上に自分だけの身体と頭にさせて、だめにしてやりたいと石田は本気で思うのだ。
おかしいけど、ずっとそう考えているのだからもうしょうがない、と諦めている。
気づかれたらきっと引かれてしまうから、あとは、それを。
(こいつに知られないようにせんとな)
──実は石田のこの気持ちの大きさに充分ついてけるくらいに井上も石田を想っているのだが、それに気づくのはまた別のお話。
END
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