序章

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―――降りしきる雨の中、一人の少女が道端に座り込んでいた。 人々はそこを避けて通る。その目には嫌悪の色が濃くみられた。 少女は血まみれだった。顔に表情はなく、不気味としかいいようがなかった。 そんな少女の前で、一人の男が立ち止まる。 「少女よ、生きたいか?」 男は問う。 少女はピクリ、と身体をふるわせ、ゆるゆると男に目を向ける。 「少女よ、生きたいか?」 男は再び問う。 すると少女の目に光が宿った。涙を浮かべつつも、はっきりと答えた。 生きたい、と――――
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