第3話 【深山《しんざん》の小坊主《こぼうず》】

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    山肌(やまはだ)から()が昇り、こまかい光彩が降り注ぐ。 蒼月をともしびに侵圧(しんあつ)していた夜の帳(とばり)はもう消えた。 準備はいいか―――霊剣(れいけん)使いの『月弥(ツクヤ)』が言った。 口は悪いが、人知(じんち)を越える身体能力を備えている。 つぎに、東国一の封滅師(ふうめつし)・『北條潤一郎(ほうじょうじゅんいちろう)』。 魔鏡(まきょう)使いで、多重人格を背負う可憐少女・『静季(しずき)』。 筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)。巨大石火矢(いしびや)を使い、圧倒的な破壊力をもつ巨漢・『羅巌(らがん)』。 発明家にしてイタズラ好きのジジイ・『与作権兵衛(よさくごんべい)』。 彼らを束縛(そくばく)することなく統括(そうかつ)しているのが、月弥だ。 いまは騒動が起こるのを心待ちにしている。 客が来ないと商売があがったりということもあるが―――彼らはその事件に秘められた”面白さ”に重点を置くらしい。不況(ふきょう)とうたわれるこの()びれた社会において、金は必要不可欠なのだが、どうもこの(あやし)の集団は―――読んで字のごとく、奇怪な理念を抱いているようだ。 今回も、ドでかい依頼が舞いおりた。 相良城(さがらじょう)に巣食う(おに)を、退治してくれといったものだ。 報酬(ほうしゅう)糸目(いとめ)はない。望むほどくれるという。 ちなみに、与作は今回、留守番である。  
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