序章《じょしょう》

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序章《じょしょう》

    混濁(こんだく)する意識のなかで── 一輪(いちりん)(はな)を見た。 あでやかな(しき)(いろど)りながら、 やがて広い花畑(はなばたけ)ができる。 油絵(あぶらえ)のように、ちいさくぼんやりと。 とても心地よい諧調(グラデーション)。 花をひとつ摘むと、(おだ)やかな気持ちになる。 ココロが洗われる気がした。 しかし、 世界が徐々(じょじょ)暗転(あんてん)し、 (くろ)い世界が、包みこむ。  
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