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手を繋いだまま、しばらく無言でマリア像を見つめる。
「美人…だなぁ。」
「ブッ……――。」
隣で一心に見ていたジュンスがぽろりと口にしたセリフが予想外で吹き出してしまった。
「……何で笑うの。」
「…ご…めん。―ブハハッでも…これ―銅像ッ。」
「…ッ、いいじゃんかっ!綺麗なんだもんっ。」
自分が言ったことが俺のツボに入ったことが気に入らないらしく眉を寄せてゲラゲラと笑いが止まらない俺に怒って背を向けてしまった。
―ほんと、そういうとこが可愛いんだよなぁ。
ようやく笑いをおさめた頃、不機嫌全開の恋人の後ろ姿は愛しくて。
「ジュンちゃん?」
「し…知らないっ。」
―素直じゃないなぁ。
強気な口調は柔らかい髪に隠れた赤い耳が、照れ隠しだってことを示していて。怒らせたのは自分なのに、いちいち反応するジュンスが可愛くて笑ってしまう。
「ジュンス。」
そっと近づくと、俺は後ろからその小さい肩を抱きしめた。
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