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しばらく寝顔を眺めて、時計を見ればそろそろ準備をしなければ本格的に間に合わない。
―もう少し見てたかったけど。
残念な気持ちを落ち着けて、ユノの体を揺すった。
「ユーノー、起きて―。朝ですよ。」
「…ん、…もう少し…―」
こんなやり取りを何度目か繰り返しても、なかなか起き上がらないユノに、僕の我慢が近づきかけた頃
「もうっ―、ユっ…うわっ。」
逞しい腕に引っ張られて気づけば暖かいふとんの中。
「おはよう、ジェジュン。」
耳を擽る心地いい声。
「……起きたの?」
びっくりして閉じてしまっていた瞳をあければいたずらっ子のように笑うユノがいた。
「…なんとかね。」
「なんとかって…毎回起こすの大変だよ。」
そう言ってわざと顔をしかめれば、
「ごめんね?」
チュッというリップ音と伴に耳に届いた感触。
――…反則だ。
ドクドクと速く打つ鼓動と自分でもわかる顔の熱。
そんな僕を見た悪魔は満足そうに笑った。
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