第一章:信仰の押し売りはお断り

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~国道294号線~ 夏樹はXJRを120キロで順行していた。 夏樹「あーあ、にしても弱い者虐めしたみてぇで気分わりぃぜ。」 まぁ、喧嘩売ってきたあいつらの自業自得っつったらそれまでだが… 夏樹「っと、やべっ赤じゃん。」 ガチャッ!!ガチャッ!! フォォォォン…!! エンジンブレーキを利用してスピードを落としていく夏樹。 夏樹「ブレーキっと…」 スカッ!! 夏樹「んなっ!?ブレーキが効かねぇ!?」 ベーパーロック!? いや、フルードの温度がそこまで上がってるわけねぇ!昨日エア抜きしたばっかだし! タパッタパパッ… 夏樹「っ!?やられた…!」 良く見ると前輪後輪共にブレーキホースがスッパリ切られていて、そこからフルードが漏れていた。 そう。 これこそが不良達の手口である。 集団で夏樹に襲い掛かり、夏樹がそっちに集中している間に予め隠れていた仲間がブレーキホースを切るという卑劣で卑怯極まりない手口である。 夏樹「糞っ!一歩間違えりゃ犯罪だぞっ!!奴等!!」 フォォォォン!! 夏樹はついに赤信号の交差点に進入。 左から8トン車のデコトラが時速100キロ位のスピードで迫る。 辺りにデコトラのアリーナホーンの音色が響く。 夏樹「終わった…」 18年か… 短かったな。 千秋の野郎に一回も勝てなかったのが心残りだぜ…畜生!! 夏樹は全てを諦め、静かに目を閉じた。 クパァ ガシャァァァン!! それと同時に夏樹の真っ正面にスキマが現れ、夏樹はスキマに飲み込まれていった。 デコトラは夏樹を避けようとして急ハンドルを切り、その時のローリングの勢いで横転した。 幸い夏樹以外他の車は無かったので大事故は避けられた。 横転したトラックのドライバーも軽傷で済んだらしい。 紫「クスクス…また一人ごあんな~い。」 スキマの中で紫が怪しげに笑っていた。
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