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「本当はしっかり直接言いたかったんですが、勇気がないのでメールで言います。まだ知り合って間もないですけど、僕なんか星野さんに釣り合わないのも分かってますけど、良かったら付き合ってくれませんか?」
私は男を男として見ると、訳も無く軽蔑してしまい、急に冷めてしまうタチだった。
今は彼氏は要らない。
けれど、嬉しくなくはなかった。
だからこうして、自分が何て言って断ったかもよく覚えていない告白のメールをなんとなく保護している。
私はコンビニの店員さん。
吉田君はお客さん。だった。
去年の十一月、高校生くらいの暗い顔した客に話しかけられて、名前とアドレスを書いた紙を渡された。
「友達になりたいんです……嫌なら破って捨てちゃっていいので。良かったらメールください」
私は客が帰ってから紙をくしゃくしゃに丸めて、ゴミ箱に放り込んだ。
それを、バイトが終わる直前に拾ってポケットに入れた。
お風呂で鏡に向かった時、化粧した顔を少し眺めた。
こんな女の何がいいんだろう。
青白いし目は小さいし、スタイルもいいとは言えない。
化粧を落としたら、眉毛と目が無くなった。もはや顔じゃない。
体を拭きながらお風呂から上がる。一人で暮らすには少し広すぎる部屋。これくらい散らかっている方が、寂しくない。
私は中学の時から着ているパジャマに着替えて、しわくちゃの紙を広げた。
「吉田隆紀」
どんな人なんだろう。
「初めまして。星野由希です」
すぐに絵文字のいっぱい入った返事が来た。
「メールありがとうございます。でも、いきなり迷惑ですよね?」
うん、迷惑。
「私、こういう事初めてで、どうしたらいいかわかんないんですが」
「僕も初めてです……。とりあえず、自己紹介しますね?」
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