死神が待っている

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 吉田君は平凡な……やや地味な高校生だった。ファミレスでバイトしていて、お金もそれなり。成績もそれなり。  あれから何度か一緒に遊んだ。  食事、映画、カラオケ……楽しさも、やっぱりそれなり。  私がワリカンにしようと言うと、吉田君は「男の僕が……」とボソボソ言って、いつも奢ってくれた。  いい人だけど、なんか、ちょっと、馬鹿みたい。 「あの……、手、繋いでもいいですか……?」 「別にいいけど?」  早くも恋人気分の吉田君。少し哀れだった。  嫌い、ではなかった。けれど好きになる事も無いと思っていた。  そうこうしてると、あのメール。  期待させた私がいけないんだ。  友達でいるのは構わなかった。互いを信頼する事の無い、いざという時助け合う事も無い、ただの、「友達」。  それは構わなかった。  好きになれる気がしないの……。  何て断ればいいか解らなかった。けれど、私はきっと、断ったんだと思う。 「いいえ、元々そんなに期待はしてなかったのでいいんです。でも、星野さんのこと、これからも好きです。何か困ったことがあったら、僕に言ってください。出来る事はやりますから」  ――お前の事、守りたい。  男は言う。「守りたい」。  けれど、何から?  私は映画のヒロインじゃない。動物園から抜け出したライオンも通り魔もそう都合良く現れないよ。  だから男はヒーローになれない。ごめんね。  ――俺、お前の為なら死ねる。  男は言う。  けれど誰かが私の為に死んだら、私迷惑だなあ。  だから、生きてよね。私の為にはならないけれど。  私は平凡だった。生活も人並み。恋も人並み。けれど男は夢を見たがる。  だから――。  嫌。  ――吉田君が消えてから、私はストーカーに遭っている。
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