第十章 朔の気持ちと二人の心

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─────────────── それから、夜。 夜ご飯の時、席順はまたお琴が土方の隣に居て、朔は沖田と藤堂の間に座る、と言う席順になった  が、それに対して朔は何も言わず、自然に沖田と藤堂の間に座り、普通に食事をとった。  それを見てお琴が少し優越感に浸っているような笑みを溢していたのを知っているのは、斎藤と藤堂の二人だった。  「…もうっ!歳三さんったらぁっ!」 朔の席順の事で不思議に思う隊士らは、黙って食事を取っている中、お琴の声が響く  土方は緩く、微笑む程度でお琴と笑い合っている  お琴は親しそうに土方の名を歳三と呼ぶ…、そんな風景を見て、沖田はふと朔を見た ちらりと、二人を見たが、朔の表情は歪みもせず、ただ無表情のまま  「朔、今日の晩ご飯おいしいですね。」 そんな朔に沖田はその位しか、声をかけてあげる事が出来なかった。  「そう?ありがとうっ!…今日の煮物とか下拵えの時に結構力入れて頑張ったんだよっ」 朔はあの無表情と、比べものにならない程の笑みを沖田に見せる
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