第十章 朔の気持ちと二人の心

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きっと朔はどちらにもまだ気持ちは揺らいでいる そんなときにお琴の登場な上にお琴の狙いは土方だ それに続き、こんな事を聞いてしまったのだから朔はきっと迷うに決まっている  だから藤堂は焦った  だが意外にも朔は落ち着いていて、ただ短く 「そっか。」 としか答えなかった。 しかも朔は、何気ない顔をしていて沖田も少し驚いていた  軽い足取りで進む朔は、少し微笑んでいた様にも見える。  「じゃあ、また後でね!あたしは着替えてまだ早いけど晩ご飯の下拵えでもしようかな。」 屯所の玄関に付くと自然に手を二人は離した  「そうですか。じゃあ、また後で。」 朔は沖田の言葉を聞くと、台所へ颯爽と行った 朔の後ろ姿が見えなくなると同時に、沖田は呟く 「…朔は土方さんが好きなはずなのに…あれを聞いて傷付いた表情も見せなかった…、なぜでしょうか?」 ただ沖田は、素直に、そう言葉を溢した。 「…まだ私には余裕があると見て宜しいのでしょうか…」 沖田はまたそう呟いた 藤堂は何も言えず、ただ静かに沖田を見るしか他無かった
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