出逢い

2/8
2056人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
ガチャ 屋上の扉を開けると、清々しい春の日差しがおれの体を突き抜けた。 やっぱり屋上って気持ちがいい。 なんていうか、気持ちいい以外に表せる言葉が見つかんないや。 おれが気持ちよさに身を任せて横になって寝ようとしたとき、ふと屋上の隅から声が聞こえた。 「すまないがそれはできない。」 「なんでだよ! おれと付き合えば毎日楽しくなるぜ?」 「私には好きな人がいるんだ!」 なんというか…男の子みたいな口調の女の子だった。 きっと一年生なんだな。 上履きのラインが水色でおれのと一緒だった。 ……告白…か… おれはそう思った。 だがよく目を凝らしてみると、そうでもなさそうだ。 金髪で制服を着崩した、いかにも不良というような男三人に、一人の女の子が囲まれている。 あれじゃまるでおどしじゃねーか。 するといきなり 「やっ、やめろ! 離せ!」 と少女が叫んだ。 不良の中の一人が少女の腕を掴んだのだ。 おれはとうとう我慢ができなくなった。 「なにしてるんすか?」 おれはそこまで行き、不良に向かって聞いた。 「あ?」 もちろん不良は眉間にシワをよせておれを睨みつけた。 「だれだお前? チビは引っ込んでな!」 不良がそう叫んだ。 おれは不良の前まで歩いていき、下から睨み付けた。 「だれがチビだよ、ゴリラ。」 おれがそう言うと不良はぶちギレた。 「っざっけんな!」 そして殴りかかってきた。 ………遅い。 おれはそいつの拳をかわして、空いた鳩尾に一発叩きこんだ。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!