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出てきたのは、真っ黒なB5サイズの手帳。 そこに書かれていたのは、色々な人の名前や特徴その他に経歴まで…。名前の隣には履歴書のように顔写真まで貼ってあった 《次は…この交差点で10時37分…か…》 “それ”は地を這うような低い声で呟き手帳を閉じた。名前や特徴、経歴の下にはその人の死亡時刻やその原因を事細かく書いてあった ここまでくれば“それ”は、人を死に導く“死神”だと解る。その死神は目の前の交差点を見る…いや、顔はフードで隠れていて口元しか見えないので、交差点の方を向いてる。…になるのだろうか 《…》 死神の目の前をフラついた二十歳前後の女性が通る。その女性は赤信号をフラフラと歩いている… 遠くからクラクションが鳴りだす。…ワゴン車が来たのだ。女はそれでも薄ら笑いながら、車が通る道路のド真ん中で立ち止まる。 キキィィィイィイッ!!!      ドン…ッ 大きなブレーキ音に続いて鈍い音が鳴った。…女は車にひかれ即死だった…。 その時刻は死神が呟き言った時間と一緒だった…。 死神の目の前に小さな人魂が浮いていた、女の体から出てきたようだ。死神はその人魂を鞄から取り出した小瓶に入れ、歩き出した 《明日は、10人…》 そんなことを呟きながら…
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