65人が本棚に入れています
本棚に追加
紫空も麻美の様子に気がついたみたいだ。
「麻美…、貴女どうしたの?具合悪い?」
紫空が麻美の肩に手を置き、心配そうに麻美の顔を覗きこむ。
「大丈夫?座る?」
紫空が麻美を椅子に座らせようとした時だった。
バッと、勢いよく麻美が顔を上げると
「うるさい!!」
麻美は勢いよく紫空をパイプ椅子の列に押し倒した。
「紫空っ!!!!!」
「きゃ…っ!」
ガシャンっ!!!!!
派手な音を立てて、紫空がパイプ椅子を巻き込んで地面に倒れた。
「紫空!大丈夫!?」
「きゃあああああ!!!!!!!」
女の子達が、悲鳴をあげ紫空に駆け寄る。
私も急いで紫空に駆け寄った。
紫空は、パイプ椅子の上に折り重なるように倒れていて、頭を打って気絶しているのか、まるで死んだように動かない。
「もう麻美やめてよ!!!」
「どうしたのよっ!!!!!」
皆が恐怖で泣き叫ぶ。
「うるさい!黙ってよ!」
口々に叫ぶ女の子達に麻美が怒鳴る。
いったい、どうしたって言うのだろう…。
今日の麻美は絶対におかしい。
皆の悲鳴に、大人達がやってきて式場は騒然となっている。
担任や、紫空の仲のいい女の子達が紫空の周りに集まって名前を呼んで、意識の有無を確かめているが紫空は、ぴくりともしない。
いつの間にか、少年も私の真後ろにきていたが、彼は周りの喧騒をスクリーンの中の光景を見ているかのように平然としている。
あんたも、事の原因なのよ!
私は少年に文句を言いたくなったが、今は麻美の方が先決だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!