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「どうかしましたか?」
少年の声に我に帰る。
「な、なんでもないわ。」
いけない…なんて事を考えてるんだろう。
麻美があんな状況になるのを羨ましいだなんて…。
それより!私、この人に守ってもらったんだわ!
お礼…ちゃんと言わなきゃ…。
「あの…」
「ありさ!大丈夫だった!?」
私が、少年にお礼を言おうとした時だった。
氷が入った袋で頭を押さえた紫空がこちらに駆け寄ってきた。
「紫空っ!そっちこそ大丈夫なの!?血とか出てない?」
私より、紫空の方が被害は大きいはずだ。
パイプ椅子の列にもろに倒れこんだのだから…。
「私は平気よ。石頭だし!床に頭をぶつけたから、少したんこぶが出来たけど…、それだけ!ありさは?」
たんこぶだけって…。
女の子なんだから、たんこぶが出来るのも重症だと思うんだけど。
「私の方こそ大丈夫…。殴られそうにはなったけど、彼がかばってくれたから…。」
私は視線を少年に向ける。
紫空もつられて目線をあげる。
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