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謎の老婆
ある会社員が、残業を終えて帰宅の途に付いていた。
いつもは通らない公園を横断して近道しようと考え、家の近くの公園に足を踏み入れた。付近には街灯もなく、彼は月明かりだけを頼りに進んだ。ふと気が付くと、彼は「ズズ・・・ズズ・・・」という、何か重いものを引きずるような音が後方から付いてくることに気が付いた。
振り返ってみたが、真っ暗で何も見えない。
ただその音だけが響いて来る。恐怖にかられた彼は、足を速めて家路を急いだ。
やっとの思いで家の門前に着いたのだが、例の不思議な音は、彼を追って来たかのように近づいてくる。彼は慌てて家の鍵を探した。
だが、あせっているのか、なかなか鍵が見つからない。
音が一層近づいて来る。彼は思い切って振り向いた。
すると、彼のすぐ後ろに、薄緑の服を着た髪を振り乱した老婆が立っていた。彼は息を呑んだ。
・・・次の瞬間、老婆が口を開いた。
「ヤクルトいらんか?」
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