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「どうかしました?」
「……」
弭間くんは、黙って鞄の中に手を突っ込み、拳銃を取り出し
拳銃!?
「あ、違うから。これ、ガスガン」
そう言うと、持つ所の底に鞄から出したガスボンベを当て、ブシュー、とガスを充填した。
びっくりした……。
でも、なんでガスガンなんて持ってるんだろ。
見ていると、弭間くんは今来た道を戻り電柱に向かってガスガンを発砲し
発砲!?
ばしゅ、ばしゅ、ばしゅ
立て続けにガスガンの発砲音。
弭間くんは無表情だ。
「ちょ、何してんの!」
弭間くんに駆け寄ると、
電柱の陰から、黒いレインコートが飛び出してきた。
「……!」
やっぱり、交差点にはいなかった。
アレは、私の後を追って来ていた。
「こいつか」
弭間くんはガスガンを構え直し、黒いレインコートに発砲した。
ばしゅばしゅばしゅ
レインコートに当たる。
「ぎゃあ」
長い髪をふり乱して、レインコートは逃げ去った。
逃げる間際、アレは私を見た。
長い髪の間から、私を見た顔は、
笑っていた。
弭間くんはガスガンを鞄にしまい、私に向き直った。
「大丈夫か?」
「……大丈夫、じゃ、ないです」
なんで、私が?
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