180人が本棚に入れています
本棚に追加
「仮名実さん、こんな話をご存知ですか?」
眼鏡の男子が話し始めた
ある人が交差点で、女性を見掛ける。
そこでその人は気付いてしまう。
彼女がこの世の者ではないと。
信号が青になり、その女性の横を通り過ぎる。するとその瞬間、
「何で分かったの?」
振り向くと、その女性は消えていた。
「と、こんな所ですね」
「それって……」
「そう、あなたの体験した『恐怖』と同じですね。まあ、他にも、『気付いてる癖に』『見えてる癖に』と、ヴァリエーションはありますが、話の大体の流れは同じです」
「……その後、どうなるんですか?」
「その後? これで話は終わりですよ?」
「……そうですか」
これで終わりなんだ。
だったら、
「どうかしました?」
眼鏡の男子が不思議そうに私を見ている。
「……来てるみたいなんです」
「はい?」
教室にいる四人が、私を見ている。
だったら、私の話は、
「その女の人、私について来てるみたいなんです」
私の『話』は、どうすれば終わるのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!