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「ここが『恐怖』に遭遇した交差点で、間違い無いですね?」
眼鏡の男子──江良本稲雉が私に聞いた。
「はい……ここです」
交差点。
ここで私は、あの女に遭った。
「さっさと済ませて帰ろうぜ。腹減った」
安全ピンの男子──弭間寧が気だるそうに言った。
来てもらってなんだけど、帰って欲しい。
私は本当に困ってるんだから。
「顔が険しいですよ」
「え、顔に出てました?」
ええ、はっきり、と綺麗な髪の女子──高砂雫子がにっこりと微笑んだ。
「しゅしゅしゅ。ごめんねぇ、寧はいつもあんなんだから。でも大丈夫。意外と頼りになるからさぁ」
パーマ頭──仁川三ツ木は、さっきから分厚い本を眺めている。
………………。
とりあえず、現場検証と言うか、私達は交差点に来ていた。
「特に変わった所も無いですね」
江良本くんが辺りを見回して言った。
そりゃそうだ。
あの女は、私について来ているんだから。
今もきっと、私の事を、どこかで、
「大丈夫ですか?」
「……はい」
本当は大丈夫じゃないけど。
他の二人は、思い思いの行動をとっている。
果たして、彼らは私を助けてくれるのだろうか。
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