交差点の彼女。

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あの女に遭った翌日、帰り道。 「…………」 かつ、かつ、かつ、かつ こつ、こつ、こつ、こつ 私の足音に重ねて、ずれた足音。 誰かが、ついて来ている。 振り返る。 誰も居ない。 気の所為かと思って、歩き出す。 かつ、かつ、かつ、かつ こつ、こつ、こつ、こつ 気の所為じゃない。 誰かがついて来ている。 ぞっとして、私は走り出した。 かつかつかつかつかつかつ こつこつこつこつこつこつ 「やっ……」 なんなの……? とっさに、公園のトイレに飛込む。 一番奥の個室に入り、じっと息を潜める。 こつ、こつ、こつ、 来た。 私は、個室のドアと反対側の壁に填められた板をゆっくりと外す。 この公園のトイレは悪ガキにいたずらされて、壁に穴が空けられている。大体修理はされたけど、女子トイレの一番奥の個室はまだ修理されてない。板を外すと、ちょうどマンホールくらいの穴が現れた。 ギィィィィィィィィィィ 「……!」 ドアを開ける音。悲鳴を押し殺す。 どうやら、個室を一個一個調べるつもりのようだ。 急いで穴から外へ出る。 トイレの周りは茂みになっている。なるべく音を立てないように、通り抜ける。枝が引っ掛かって痛い。 公園の外をぐるっと回って、入り口へ戻る。 公園を背に、走る。 途中、振り返ってトイレを見た。 ちょうど入り口から、黒いレインコートを着た女が、 「おかえりなさ……どうしたの? そんな汗だくで」 お母さんに驚かれた。 気付くと、家に着いていた。
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