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藁をもすがると言うのか、結局私はその江良本くんの元へ向かった。
相談がある、と話すと、江良本くんは放課後にまた来てくれと言った。
そして今の状況である。
「あの……」
「はい?」
江良本くんが振り返った。
「私、そろそろ帰っていいですか?」
さっきから、状況がずっと変わっていない。
「ああ、すみません。じゃあ、寧、家まで送ってやって」
「おう」
言われた弭間くんは、意外と素直に応じて、高砂さんと仁川が手を振って見送ってくれた。江良本くんは、ずっと交差点を見ている。
私と弭間くんは、交差点を後にした。
「…………」
「…………」
気まずい。
そろそろあの公園に差し掛かるけど、ずっと無言である。時々話しかけてみるんだけど、
「ああ」
とか、
「おお」
ばっかりで、話が続かない。
高砂さんと帰りたかったな……。
きっと話も弾むだろうに。
残念に思っていると、弭間くんが急に立ち止まった。
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