一通の手紙

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「ため息………ダメ」 「うっ、分かっているけど」 肩まで伸びる落ち着いた色の髪を自分で撫でる まぁ、この少女が文句の一つも言いたくなるのも無理はない 何せ二人は朝からずっといろんな店を回っていたのだから 「あっ、 あれ飲まない?」 「………うん?」 指差した場所にあるのは今人気の屋台型アイスドリンク店だ 「もしかしてこういうの初めてです?」 「………」 金髪の少女は黙って頷く 「じゃあ待っててね」 懐から小銭を取出し、 「おじさん、これ二つお願い」 「ひっ、 い、いらっしゃいませぇっ!」 妙なテンションとともに 先程までとは比べ物にならないスピードで二つ用意する 「ありがとうございましたあぁっっっ!」 「………あぁ、うん ありがと」 斯くして、 無事に目的のドリンクを入手したわけだが 「はぁ、」 「リン………ため息」 「分かってます ネーテ」 よく見ると周りも二人を一瞬見ては、 何か悪いことをしたかのように皆目を反らす
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