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「でもこのままじゃ……」
「出血はそれほど酷くない
別に放っておいても死にはしないだろ」
それがサツキが診た症状だった
そんなサツキの診断を聞いてミーティアが絶望したような表情になる
今のサツキの態度は
良くいえば冷静、
だが内容の結果としては放置という最悪の選択だった
「生憎、僕に出来ることは消毒くらいだ」
「それって……」
ミーティアの顔色は相変わらず赤かったが、
身を震わせているという行動が新たに付け加えられていた
この状態はよく知っている
患者の状態を告げられた親族がたまに起こす症状だ
怒りに身を震わす、らしい
僕には
理解できない
サツキはミーティアを無視して傷口をサッとガーゼで撫でる
痛みを訴えることも出来なくなったのか、
それとも気絶してしまったのか
負傷した生徒に声はない
「この仕事は僕には出来ない」
「どうして?」
今やミーティアは怒りで泣きそうになっていた
「勘違いしないでくれ
本当に出来ない、というかやりたくないんだ
たんに治療師のプライドがそれを許さないだけ」
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