実力試験

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それを見たミーティアはまたもや泣きそうな顔になっていた 「落ち着け 治療師にとって大事なことを考えればいいだけの話だ」 「治療師にとって……?」 ミーティアの目は自然と負傷者の方にいく 「さて、目の前に怪我した者がいます あなたならどうしますか?」 簡単なことだった ミーティアは既にサツキの話など聞いていない 気が付けば傷に手を当てて唱えていた 「治って 『ヒール』」 弱まっていた光が一気に輝きを増し、 瞬く間に傷口を塞いでいった 「……ふぅ、」 ミーティアは手で額の汗を拭う 目の前には傷一つ残っていない生徒、 ミーティアは成功したのだ 「……これが治療師」 当たり前のことなのだが、ミーティアにとっては初めての経験 「あっ、そうだ ありが……」 振り向くがお礼を言いたい者は既にいなかった 「……ありがとう」 それでも心を込めて、 後でもう一度言おうと誓う 「A、二人負傷」 「はい、今行きます」 ミーティアの戦いはまだ始まったばかりだ
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