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恋質者――間違えた、変質者。
僕はノートの誤字を書き直す。
「変」を「恋」と書き間違える癖は、中学から未だ治らない。自分ではそこまで恋に恋するような男だと思っていないのに、何だろうこれは。高校一年の男子として、酷く恥ずかしくないか。
「……あ、やっぱり纏まってない」
ふと、僕は消しカスを見て、不満を小さくぼやいた。教室内だし授業中だから、誰にも聞こえない程度に。
まったく、ノリで「纏まらぬさん」なんて消しゴム買わなきゃよかった。
……まあ、色物としてコレクションにとっておくか。ネタにはなる。というかネタにしかならん。
突然だが僕は、消しゴムを集める趣味を持っていた。キン消しでも何でもない、普通の消しゴムだ(例外として今回みたいのもあるけど)。
消しゴムが好きというか、なんというか、僕は消しカスが好きだ。始めは白いのに、間違いを消すことで黒くなった消しカスが。
因果応報って訳じゃないけど、間違いを無くしたっていう結果が直ぐに表れるのが好き。
まあ、だからと言って消しカスを集めたりはしないけどさ。んなアホなことはしない。気持ち悪い。
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