2 同僚のアナタ

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最近はずっと引きこもって家ばかりにいた。 飲みと言えば会社がらみの歓迎会で、気を抜いて飲むのは久しぶりだった。 ずっと沈んでいた気分がくだらないことを話しているだけで軽くなる。 「おごってもらうわけにはいかない」 後ろから声が聞こえて振り返ると洋介が一万円を差し出していた。 「いいんです。今日は本当に楽しかったから」 「それはよかった。でも・・・」 「じゃあ、もう一軒行きましょ。外に出たら酔いが覚めちゃった・・・」 「本当に大丈夫か?」 途中から香那美が酔っ払い、セーブしていたので洋介は飲み足りなかったようだ。 「いい店あります?」 「あるよ。けど真っ直ぐ歩けなかったら連れて行かない」 香那美は石畳に沿って真っ直ぐ歩く。 「どう?」 「上等」 香那美と洋介は旧友みたいに並んで歩いた。
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